『
国
を
開
い
た
勇
者
た
ち
』
18
世
紀
初
め
。
紀
州
か
ら
将
軍
家
を
継
い
だ
吉
宗
は
、
オ
ラ
ン
ダ
に
深
い
関
心
を
持
つ
。
洋
書
輸
入
禁
止
令
を
緩
和
し
、
青
木
昆 こ
ん
陽 よ
う
ら
に
蘭
語
修
得
を
命
ず
る
。
毎
年
参
府
す
る
商
館
長
に
、
お
国
の
政
治
体
制
や
地
理
、
軍
事
の
御
下
問
を
す
る
。
馬
好
き
な
吉
宗
は
、
日
本
馬
の
体
格
改
良
の
た
め
、
大
型
の
ア
ラ
ビ
ア
馬
の
導
入
も
図
っ
た
。「
暴
れ
ん
坊
将
軍
」
の
馬
が
大
き
い
の
は
、
そ
の
せ
い
か
も
し
れ
な
い
。
田
沼
時
代
に
は
、「
蘭
学
・
洋
学
」
の
気
運
が
高
ま
る
。長
崎
で
蘭
語
を
学
ん
だ
前
野
良 り
ょ
う
沢 た
く
は
、
人
体
の
解
剖
書
『
タ
ー
ヘ
ル
・
ア
ナ
ト
ミ
ア
』
の
翻
訳
に
取
り
組
み
、『
解
体
新
書
』
を
完
成
さ
せ
た
。
風
変
わ
り
な
平
賀
源
内
も
、
蘭
語
を
駆
使
し
、
エ
レ
キ
テ
ル
の
実
験
な
ど
、
天
賦
の
才
を
発
揮
す
る
。
次
第
に
キ
リ
ス
ト
教
へ
の
恐
怖
が
薄
れ
、
西
洋
近
代
へ
の
畏
敬
が
高
ま
る
。
定
信
が
登
場
す
る
。
定
信
は
、
海
外
開
放
へ
の
流
れ
に
逆
ら
っ
た
イ
メ
ー
ジ
が
あ
る
。
洋
学
を
禁
じ
、
在
野
の
海
防
論
を
抑
え
込
ん
だ
り
と
。
体
制
の
守
護
者
の
目
に
、
西
洋
へ
の
接
近
は
、
足
元
を
崩
す
懸
念
が
あ
る
と
映
る
。
長
崎
貿
易
を
縮
小
し
、
幕
府
通
知
の
誤
訳
を
理
由
に
通
詞
を
処
分
す
る
な
ど
、
統
制
を
強
め
た
。
そ
の
一
方
で
、
幅
広
く
洋
書
を
収
集
し
、
翻
訳
局
の
拡
充
も
図
っ
た
。
ま
た
、
元
長
崎
通
詞
の
石
井
庄
助
を
白
河
藩
で
召
し
抱
え
、
洋
学
の
基
礎
と
な
っ
た
蘭
語
辞
書
『
ハ
ル
マ
和 わ
解 げ
』
を
作
成
さ
せ
た
。
定
信
も
世
界
情
勢
に
並
々
な
ら
ぬ
関
心
を
示
し
、
通
詞
の
技
量
を
認
め
て
い
た
。
江
戸
時
代
は
、
い
わ
ゆ
る
「
鎖
国
」
を
と
っ
て
い
た
。
と
い
っ
て
も
、
完
全
に
国
を
閉
ざ
し
て
い
な
い
。
外
国
と
接
す
る
場
所
を
限
定
し
、
幕
府
が
直
接
的
・
間
接
的
に
管
理
す
る
体
制
を
「
鎖
国
」
と
表
現
し
た
に
過
ぎ
な
い
。
日
本
に
は
対
外
上
、4
つ
の
窓
口
が
あ
っ
た
。
長
崎
で
は
オ
ラ
ン
ダ
と
中
国
。
対
馬
は
朝
鮮
、
薩
摩
は
琉
球
、
松
前
は
ア
イ
ヌ
。
朝
鮮
と
琉
球
は
、
正
式
な
国
交
を
持
つ
「
通
信
国
」。
他
は
私
的
な
貿
易
関
係
だ
っ
た
。
オ
ラ
ン
ダ
は
西
洋
の
窓
と
し
て
、
日
本
に
大
き
な
影
響
を
及
ぼ
し
た
。
出
島
に
置
か
れ
た
商
館
は
、「
オ
ラ
ン
ダ
東
イ
ン
ド
会
社
」
の
日
本
支
店
。
オ
ラ
ン
ダ
語
は
、
長
崎
の
「
通 つ
う
詞 じ
」
が
担
っ
た
。
通
詞
と
は
、
長
崎
奉
行
が
現
地
で
採
用
し
た
役
人
。
30
戸
程
度
の
世
襲
制
で
、
幼
い
頃
か
ら
蘭
語
を
学
び
、
相
当
の
語
学
力
を
持
っ
て
い
た
。
通
訳
や
貿
易
業
務
の
ほ
か
、
オ
ラ
ン
ダ
船
が
も
た
ら
す
海
外
情
報
の
翻
訳
も
行
っ
た
。
幕
府
は
貿
易
許
可
の
条
件
と
し
て
、
ス
ペ
イ
ン
・
ポ
ル
ト
ガ
ル
等
、
カ
ト
リ
ッ
ク
の
動
き
を
報
告
す
る
よ
う
義
務
付
け
た
。『
オ
ラ
ン
ダ
風 ふ
う
説 せ
つ
書 が
き
』
と
よ
ば
れ
る
情
報
誌
は
、
世
界
を
知
る
上
で
、重
要
な
回
路
だ
っ
た
。
幕
府
の
指
導
者
は
、
風
説
書
か
ら
相
当
の
知
識
を
得
て
い
た
。
世
紀
末
、
ロ
シ
ア
が
北
か
ら
揺
さ
ぶ
る
。
ラ
ク
ス
マ
ン
が
漂
流
民
、
大 だ
い
黒 こ
く
屋 や
光 こ
う
太 だ
夫 ゆ
う
を
伴
い
根
室
へ
。
12
年
後
、
国
書
を
携
え
て
レ
ザ
ノ
フ
が
長
崎
へ
。「
鎖
国
は
祖
法
」
と
追
い
返
す
幕
府
。
怒
る
軍
船
は
、
蝦
夷
地
を
攻
撃
。
ア
メ
リ
カ
の
捕
鯨
船
は
、
水
と
食
料
を
求
め
近
づ
く
。
海
の
覇
者
イ
ギ
リ
ス
は
、
強
引
に
長
崎
に
入
港
す
る
。
幕
府
は
異
国
船
打
払
令
を
発
す
る
が
、
時
代
錯
誤
。
ア
ヘ
ン
戦
争
で
清
が
イ
ギ
リ
ス
に
屈
服
し
、
香
港
を
割
譲
し
た
。
も
は
や
蘭
語
だ
け
で
は
通
用
し
な
い
。
通
詞
は
英
仏
語
に
猛
然
と
力
を
入
れ
る
。
黒
船
が
き
た
。
幕
府
は
、
思
い
の
ほ
か
冷
静
に
対
応
し
た
。
来
襲
を
想
定
し
て
い
た
こ
と
も
あ
る
が
、
通
詞
の
力
量
も
あ
っ
た
。
ひ
と
り
の
通
詞
が
旗
艦
に
近
づ
き
、"I
can
speak
Dutch!"
と
呼
び
か
け
る
。
即
座
に
理
解
し
た
艦
隊
の
通
訳
と
、オ
ラ
ン
ダ
語
で
話
し
始
め
る
。
ペ
リ
ー
は
『
日
本
遠
征
記
』
で
、
堀
達
之
助
の
語
学
力
を
高
く
評
価
し
て
い
る
。
翌
年
、
日
米
和
親
条
約
の
交
渉
が
始
ま
る
。
日
本
の
主
席
通
詞
は
森
山
栄
之
助
。
森
山
は
、
両
代
表
が
対
峙
す
る
場
で
も
、
笑
顔
さ
え
見
せ
余
裕
の
振
る
舞
い
。
ペ
リ
ー
は
見
事
な
英
語
に
驚
き
、
条
約
の
成
立
を
確
信
し
た
と
い
う
。
条
約
交
渉
は
国
益
を
か
け
た
真
剣
勝
負
で
あ
り
、
一
字
一
句
に
身
を
削
る
過
酷
な
仕
事
。
彼
ら
は
歴
史
の
表
舞
台
に
は
出
て
こ
な
い
。だ
が
、
迫
り
く
る
西
洋
列
強
に
言
語
で
渡
り
あ
い
、
近
代
の
扉
を
開
い
た
陰
の
功
労
者
だ
っ
た
。
市長の手控え帖
広報しらかわ 2017.12(H29)